輸出が認められていない和牛の受精卵が海外から狙われています。

それはどういうことでしょうか。

和牛の受精卵が狙われる理由を初心者にもわかりやすく解説します。

出典元:毎日新聞WEB 美味しそうな和牛のお肉たち

大阪府警は、輸出が認められていない和牛の受精卵などを中国に不正に持ち出そうとしたとして、焼き肉店の経営者らを逮捕しました。

家畜伝染病予防法違反の疑いで逮捕されたのは、大阪八尾市で焼き肉店を経営する前田裕介容疑者(51)と、知人の小倉利紀容疑者(64)です。

前田容疑者は、以前、中国で焼き肉店の経営に関わっていたということです。

逮捕前の取材に対し、

「知り合いの中国人から受精卵を運んでくれと頼まれた。

和牛のものとは知らなかったし、受精卵を持っていくことが悪いことだとは思っていなかった。

何のために使うかも全く聞いていなかった」

と語っていたそうですが、本当でしょうか。

さらに前田容疑者は、

「自分がいないときに、知らない人が、大阪の焼き肉店に容器が入ったバッグを届けに来た。

友人が中国まで運んだが、現地の税関で持ち込みを拒否され、こちらの税関で放棄する手続きを取った」

と話していたそうです。

 

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和牛の受精卵が狙われる理由とは何か、初心者にもわかりやすく解説

近年、和牛の受精卵や精子が海外へ持ち出しについて、国や畜産農家が危機感を強めています。

和牛は日本にとって有力かつ高価な輸出農産品、海外でも人気があり、これに目をつけたグループが中国へ持ち出しを図っているものと見られています。

流出した受精卵などが海外で繁殖に使われれば、畜産業が打撃を受ける恐れがあります。

国は税関や航空会社に注意喚起し、受精卵などの流出防止を図る構えです。

出典元:@niftyニュース 【和牛受精卵持ち出し】直接禁止する法律なし

今回、和牛の受精卵と精液が中国に不正輸出された事件で、大阪府警に家畜伝染病予防法違反容疑などで逮捕された運搬役の小倉利紀容疑者が、「これまでに何度か依頼された荷物を中国に運んだことがある」と供述していることが11日、捜査関係者への取材で分かりました。

捜査関係者によると、小倉容疑者に運搬を指示したとして、同法違反容疑などで逮捕された前田裕介容疑者は受精卵などの持ち出しについて、「知人の中国人に頼まれた」と供述しています。

一方で、「以前にも調味料などを運ぶよう頼まれ、(小倉容疑者に)運ばせた。受精卵の依頼は初めてだった」と説明しているそうです。

府警は11日、同容疑などで2人を送検しました。

中国人側が何度か荷物を運ばせることで、国外に持ち出す手順に慣れさせた可能性があるとみて、中国での受け取り役の特定などを進めています。

家畜改良増殖法は、受精卵や精液の譲渡の際、獣医師か家畜人工授精師の名前などを記載した証明書の添付を義務付けていますが、両容疑者は証明書を所持していなかったことも判明しています。

違法性の認識はなかったのでしょうか。

小倉容疑者は農水省の調べに対し、「違法とは知らなかった」と説明しています。

前田容疑者も、府警が経営する焼き肉店を家宅捜索した際、「初めて違法と知った」と話したそうです。

本当でしょうか、高価な和牛の受精卵をを中国人に手渡すことが合法である、と考えていたのでしょうか。

一方、持ち出された受精卵の流出元である徳島県内の畜産農家のほうは、どうでしょうか。

畜産農家の男性は、府警の調べに「面識のない人に数百万円で販売した」と話しています。

男性から受精卵を購入した人物は不明ですが、何らかのルートで両容疑者の手に届き、違法性の認識もないまま中国へ運搬されたのではないかと見られています。

両容疑者の行為は、日本に大きな損失を招きかねません。

受精卵が狙われる事件の背景には、和牛を保護する環境が整っていない日本の現状があります。

畜産農家が長年品種改良を重ねた結果、和牛は肉質の高さから高級ブランド品として海外で人気が高く、輸出量も年々増加しています。

しかし、万が一受精卵や精液といった「遺伝資源」が流出すれば、海外でも大量の「和牛」の飼育が可能になります。

それは、家畜には国際的な知的財産の保護制度がないからです。

植物は新品種の保護に関する国際条約があり、新種を開発して国に登録すれば知的財産とみなされ、法律で種の無断輸出も禁止されています。

一方、和牛などの家畜の輸出は、相手国との取り決めで制限をかけているものの、受精卵などの輸出を直接禁止する法律がないのです。

農水省は2006~07年に、家畜の遺伝資源保護に関する検討会を実施しましたが、「法規制は困難」と判断しました。

家畜は植物と違い、動物は受精卵の段階ではその後どのように育つかが不透明で、知的財産とみなすのが難しいため、という理由からです。

なんだか簡単ではない問題のようですね。

 

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和牛の受精卵と精子を中国に持ち出しする事件、国の規制はあるのか

和牛の受精卵や精子は、検疫所で検査を受けても輸出は認められません。

日本では、家畜伝染病予防法という法律があります。

家畜伝染病予防法は動物やその肉、卵などを輸出する場合に検疫所で検査を受けることを義務付けており、違反すると3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

牛の肉質は血統の影響が大きく、和牛の繁殖は人工授精が主流です。

受精卵などの「遺伝資源」は自治体や民間業者が管理し、畜産農家に販売しています。

また、産地外への持ち出しを制限する自治体もあります。

一般社団法人「大阪府畜産会」(大阪市)によると、海外で現地の雌牛に受精卵を移植すれば和牛と同じ遺伝子の牛が産まれるそうです。

同会担当者は「現地で交配が進むと、類似品種の生産を食い止められない」と指摘します。

農水省は遺伝資源を管理する約1600施設を対象に、管理状況や販売ルートを初めて調査を行いました。

空港や港では保存容器を持った渡航客に注意を払うよう運航会社などに要請しました。

ほかに、財務省関税局も水際での対策徹底を全国の税関に周知しました。

近畿大の松橋珠子講師(畜産学)は、

「和牛は畜産農家による長年の品種改良の結晶。

日本の重要な知的財産の一つだ。

遺伝資源の生産現場から流通過程まで切れ目ないチェック体制を整え、流出を防ぐべき」

出典元:日本経済新聞WEB 狙われる和牛遺伝子

と話しています。

 

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既に中国では、不正に和牛の受精卵が持ち込まれ繁殖が始まっている

和牛は海外で人気が高く、近年は輸出が急増しています。

ただ、中国には直接輸出できないこともあり、ある畜産関係者は、

「不正に入手した受精卵を使い、中国では既に和牛の繁殖が始まっている」

と明かしています。

家畜伝染病予防法は、動物などの輸出の際に検査を義務付けています。

今回の事件は中国の上海へ輸出したとしていますので、その詳しい条件は中国と日本の間で決められていますが、和牛の受精卵と精液については検査を受けても輸出できません。

府警によると、持ち出された受精卵などは液体窒素で凍結されており、ストローと呼ばれる筒計365本に入れられた状態で専用の容器に詰められていたそうです。

前田容疑者の依頼で知人の小倉容疑者が運びましたが、中国で輸入が認められずに帰国。

その際に日本の検疫所に申告し、持ち出しが発覚しました。

農水省によると、和牛とは、国内で生まれ育った「黒毛和種」「褐毛(あかげ)和種」「無角(むかく)和種」「日本短角(たんかく)種」の4種と、これらを交配させた牛を指します。

きめ細やかなサシが入った霜降り肉は海外でも人気で、国産牛肉の輸出量は2017年は約2700トンで、10年前の約10倍に伸びています。

和牛は血統が肉質を左右し、人気牛の受精卵は1個数万円から数十万円で取引されると言われています。

群馬県にある和牛の人工授精所には数年前から、「現金を持って行くからすぐに売ってくれ」と受精卵や精液を輸出したいという電話が、かかってくるようになったそうです。

青森県の牧場にも10年ほど前から同様の電話があるとのことですが、不審な点が多く販売は行っていません。

関西のある畜産関係者は、

「中国には既に和牛の受精卵などが持ち込まれ、繁殖されている。

横行すれば、日本の畜産業にとって大きな打撃になるだろう」

と危機感をあらわにしています。

和牛の受精卵の海外への持ち出し、これを不正輸出とするのならば、取り締まる法律が必要ということになるのでしょうか。

グローバル化が進む中、むしろ人間の方こそ人種の交流が進み、多様化しつつあります。

和牛の受精卵が「遺伝資源」だとしても、将来に渡って守り続けるのは限界があるのかもしれませんね。

 

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