フランス政府が日本政府に、自動車メーカーの経営統合を要求したことがわかりました。

20日、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の失脚に関連し、フランス政府は、自国の自動車大手ルノーと日産の経営統合を日本政府に要求しました。

出典元:共同通信 仏が日産ルノー統合要求

ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、以前から自国経済のために、日産との統合を求めていました。

日産はゴーン被告の不正を暴露することでルノーとの統合を阻止してきましたが、逆にフランス政府は、より圧力を強化する姿勢です。

日産ルノーの経営統合は、マクロン大統領の意向と言われています。

関係者によると、フランス政府代表として訪日したルノーのマルタン・ビアル取締役や、ルメール経済・財務相の側近らが、経済産業省に伝えた模様です。

ルノーでは近日中にも、ゴーン被告の会長兼最高経営責任者(CEO)の職を解く予定になっています。

 

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フランス政府は持ち株会社を軸に、経営統合を要求

日本経済新聞によれば、フランス政府の代表団が18日までに、共同持ち株会社方式を軸に仏ルノーと日産自動車を経営統合する意向を日本政府関係者に伝えたことが分かりました。

以前より、ルノーの筆頭株主であるフランス政府は日産およびルノー両社の一体化を求め、日産側はフランス側主導の統合構想に反発してきました。

この度の日仏連合の要だったカルロス・ゴーン元日産会長の逮捕で、両社の対立が表面化し、新たな連合の経営体制を巡る攻防が激しさを増しそうな様相です。

経営統合の要求は、18日まで来日していたフランス政府出身のマルタン・ビアル・ルノー取締役ら同国政府の代表団が両社の統合構想を伝えたとされています。

統合案として、日産とルノーが共同で持ち株会社を設け、傘下に両社を置く案などを示しました。

また、ゴーン元会長の解任で空席になっている日産の会長職をルノーが指名する意向も伝達しました。

ルノーは近日中に、同社の会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるゴーン元日産会長の後任を決める見通しです。

ルノーの後継者探しがフランス政府主導で進んでおり、新体制の発足と同時に、フランス政府の意向を受けたルノーが日産に対して強硬な姿勢で協議に臨んでくる可能性があります。

現在、日産とルノーは三菱自動車(日産が34%を出資)を加えた3社で企業連合を組み、ルノーは日産に43.4%を、日産はルノーに15%をそれぞれ出資しています。

出典元:日本経済新聞 ルノー、ゴーンCEOの解任検討 仏政府が方針転換

持ち株会社方式で経営統合すれば、ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、新設する持ち株会社の大株主になります。

これに対して、日産は現状に比べてフランス政府の経営への影響力が強まることを警戒し、抵抗する構えです。

ルノーは収益面や研究開発などで日産への依存度が高く、フランス政府には両社の提携を後戻りできない関係にする思惑があると言われています。

 

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フランス政府はゴーン被告失脚後、日産へ圧力強化

これまでもフランス政府は統合など両社の経営の一体化を求めてきました。

この意向を受けてゴーン元会長が両社の統合などを検討していたとされていますが、具体的な協議に入る前に逮捕されてしまいました。

ルノーは17日、会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるカルロス・ゴーン被告の解任を視野に、新体制の検討に入っていることを明らかにしました。

同日「当社の利益を守り自動車連合を強化するため将来のガバナンス体制をつくろうとしている」との声明を発表しましたが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府が、ゴーン被告の解任を求める方針に転じたことが決め手となったと言われています。

出典元:M&A online 日産が仕掛けた「ゴーン追放」でルノーとの経営統合はどうなる?

フランス政府は事件発覚以来、ゴーン被告の解任に一貫して反対してきました。

しかし、次々と明らかになる疑惑で世論が厳しくなり、暫定的な今の体制では意思決定も鈍りかねないと判断、その上で新体制を発足し、ルノーの経営へのダメージを最小限に抑えることを優先したようです。

既にフランス政府とルノーは新体制の発足を見据え、経営トップの人選、打診を進めていて、候補として仏タイヤ・ミシュランのジャンドミニク・スナールCEOなどが取り沙汰されています。

ゴーンCEOが解任されれば、焦点は3社連合のトップや日産会長の後任人事、ルノー・日産の資本関係見直しなどに移る見込みで、日仏の主導権争いは当面続くことが予想されます。

これを見据え、フランス政府の日産への圧力強化が増していくものと思われます。

 

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日産ルノーの合併問題の深すぎる真相とは何か?

先述のとおり、現在ではルノーが日産に43.4%、日産がルノーに15%と相互出資関係にありますが、日産が持つルノー株には議決権が付与されていません

フランス政府はルノーの競争力強化、ひいては自国の産業育成と雇用保護のため、かねてルノーを通じて日産を影響下に置きたい姿勢を示してきました。

2014年には株式を2年以上保有する長期株主の議決権を2倍に増やす通称「フロランジュ法」※を制定し、日産経営への関与を強めようと画策しましたが、日産側はゴーンCEO(当時)が前面に立って強く反発しました。

フロランジェ法とは、実体経済の回復を目的として2014年にフランスで制定された法律の通称。

 フランス北東部の町フロランジュで起きた製鉄所の閉鎖による従業員の大量解雇が法制定の契機となったことから。

その後、2015年12月、日産はルノー、フランス政府との間で経営の自主性を維持することで合意しました。

日産は自社の経営判断に対してルノーから不当な干渉を受けたと判断した場合、ルノーへの出資比率を引き上げることが可能になりました。

日本の会社法の規定では、日産がルノー株の25%以上を持つと、ルノーが持つ日産株の議決権が停止され、ルノーを通じたフランス政府の日産への影響力を遮断できます。

この時点ではゴーン被告が、ルノー連合から日産の経営独立性を守っていた、ということを考えると、ゴーン被告の逮捕劇は日産にとって痛手となるかもしれない、ということでしょうか。

であれば、皮肉な感じがしますね。

日産側が懸念するのは、これまで経営やブランドなどの独立性を担保した上で、部品の共同購買などでコスト削減を進め、車種開発や市場展開で互いに弱点を補完し合ってきた「緩やかな提携」という成功の形が壊れることです。

フランス政府は民間企業への経営介入を厭わない傾向があり、過去にルノーが計画したフランス国外への工場移転を中止させたこともあったそうです。

仮にフランス政府の影響下で経営統合が実現し、フランス政府の口出しが続くようだと、日産の競争力にも悪影響を及ぼしかねません。

日産が「フランス自動車大手」になれば、高品質の「日本車」という看板を失い、日本市場だけでなく、世界販売に対する損失も大きいと言われています。

経営の独立性を重視する日産はもちろん、雇用や税収面でのマイナスが想定される日本政府にとっても、合併は容認しがたい形態であると考えられているようです。

日産とルノー、日本とフランス、企業と国の利権が絡み合う統合問題、ゴーン被告の逮捕は大物経営者の失脚というニュースだけではなく、国際経済にも影響する事件だったというわけですね。

 

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