東京都渋谷区の児童養護施設「若草寮」の施設長大森信也さん(46)が刺殺された事件で、殺人未遂の疑いで逮捕された元入所者の田原仁容疑者(22)が「他の職員も刺す予定だった」と供述していることが27日、警視庁代々木署への取材で分かりました。

田原容疑者は「施設に恨みがあった。関係者なら誰でもよかった」と、理由は逆恨みであることをほのめかしており、同署は事件との関連を捜査しています。

出典元:朝日新聞デジタル 「他の職員も刺す予定だった」 施設長刺殺事件の容疑者

現場で見つかった刃物は柄が外れており、壊れなければ別の職員も襲った可能性があるとみて同署が調べています。

田原容疑者が、首のほか「心臓を狙った」と話していることも判明し、遺体の傷は左首や脇腹、背中など十数カ所で、強い殺意を持って襲ったとみられています。

ところで田原容疑者は、まだ成人して間もない22歳、個人的な話をすると私の息子と同じ年頃です。

彼の両親は生きてるのか死んでるのかわかりませんが、もしどこかにいるのであれば親に言いたい、「許せないのは容疑者だけではなく、親もじゃないか」と。

どうしてこんなことになってしまったのか、悲しい事件です。

 

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児童養護施設長は「常に優しく寄り添う人」刺殺の理由は逆恨み?

刺殺された児童養護施設長の大森さんは、入所者が退所した後のケアにも力を入れていました。

2006年ごろまでの約4年間、若草寮で暮らし、現在は川崎市中原区に住む男性(30)は、大森さんについて

「冷静に、でも常に優しく寄り添ってくれる人だった」

と語りました。

施設の子どもたちの間でけんかがあると、落ち着いた様子で仲裁にあたる大森さんの姿が印象に残っているそうです。

「叱っていても感情的になることはない。落ち着いてなだめてくれていた」

児童養護施設は、原則18歳までに退所する制度になっています。

男性は高校2年生で施設を出ましたが、大森さんとは年に一度は連絡を取りあっていたとのことです。

大森さんは長年児童福祉の専門誌の編集委員を務め、15年に児童養護施設を巣立った子供の葛藤をまとめた共著「子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援」を刊行しています。

多くの入所者が「父親に近い存在」と、大森さんに厚い信頼を寄せていた、ということです。

警視庁代々木署によると、田原容疑者は2012~15年に若草寮に入所し、退所後は施設の紹介で東京都東村山市内のアパートに住んでいました。

しかし、部屋の壁を壊したり、家賃を滞納したりしたため、管理人とトラブルになり、昨年9月ごろに退去させられました。

その際、施設の職員が同容疑者を訪ね、田原容疑者から事情を聴いたとのことですが、事件と関連があったかどうかはわかっていません。

同署の調べでは、

「恨みがあり、施設の関係者なら誰でもよかった。

包丁が折れなければ、ほかの人も殺すつもりだった」

などと供述しているそうです。

刺殺の理由が施設の関係者への逆恨みにあったのか、他にも動機があったのかは、今後明らかになっていくものと思われます。

 

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児童養護施設の親代わりにも限界、許せないのは容疑者の親 では?

逮捕された田原容疑者は事件当時、所持金が数百円しかなかったことが捜査関係者への取材で分かりました。

田原容疑者は事件前、埼玉県のJR大宮駅周辺のネットカフェを転々としていて、警視庁は経済的に追い詰められる中で恨みを募らせたとみて調べています。

凶器となった包丁は2~3週間前に準備したということですが、その際も100円ショップにて、なけなしのお金で購入したということです。

ところで、なぜ、容疑者は退所から4年後に同施設を訪れ、事件を起こしたのでしょうか。

同施設には、さまざまな事情で家族と一緒に暮らせない6~18歳の子供ら約30人が暮らしていました。

捜査関係者によると、田原容疑者は2012年3月に、母親との関係性を巡って入所したそうです。

一方、近隣住民に児童養護施設「若草寮」のことを尋ねると、

「施設は何十年もここにあって、バザーを開いたりしていた。

近くの小学校の1学年に2人ほど、この施設の児童が通学していて、児童は職員をお母さん、お父さんと呼んでいた。

理事長さんは20年以上、他の責任者の方もずっと長いこと勤めている。

本当にいい人ばかり」

と語っています。

出典元:テレ朝 news「心臓を狙って刺した」 児童養護施設長刺殺事件

しかし、容疑者は「施設に恨み」と供述しています。

退所前からの恨みなのか、退所した後の4年間に何かがあったのか、それは本人の胸の内にあるのかもしれませんが、人を殺めるほどの恨みだったのでしょうか。

田原容疑者の入所は、母親との関係がきっかけだったとされますが、2012年の3月のことなので遡って7年、田原容疑者が15歳の時ということになります。

現在、この母親はどこにいるのでしょうか。

また、父親は生きているのでしょうか、どこかにいるのでしょうか。

15歳の多感な時期に施設に入所させた我が子が退所後に起こした事件、容疑者だけではなく、見放した親にも責任の一端があるのではないでしょうか。

別れた理由がどうであれ、親子の絆は切れません。

 

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「職員からストーカーをされた」⇒「誰でもよかった」の矛盾

元警視庁刑事で犯罪ジャーナリストの北芝健氏は、

「世間は施設に入っていたというだけで、元入所者に対して冷たいところがある」

出典元:東スポWeb 児童養護施設長殺害犯 なぜ退所4年後に凶行

と指摘しています。

同施設の評判は良好ですが、原則として入所していられるのは18歳までです。

その後は「ジャングルやツンドラのような厳しい社会」(北芝氏)に出ていくということになります。

田原容疑者の場合、4年の歳月が経ったところでした。

捜査関係者によると、田原容疑者は「最近はネットカフェで生活していた」と話しています。

田原容疑者にとって、社会への恨みが、施設への恨みに変わったのでしょうか。

警視庁代々木署によれば、田原容疑者は「職員にストーカーされた」と供述しているとのこと。

前出の北芝氏は、

「一般的に児童養護施設や、老人介護施設などでは虐待が起こりやすい。

施設には神様のように優しい人とサディスティックな人がいて、理不尽な暴力を受ける入所者もいる。

殺人に正当な理由はないが、『ストーカー』という供述通りなら、その職員を捜すはずで、『施設関係者なら誰でもよかった』という供述と矛盾する。

この『誰でもよかった』というのは22歳にしては自立していない発言とも言える」

出典元:東スポWeb 児童養護施設長殺害犯 なぜ退所4年後に凶行

と分析しています。

田原容疑者は大森さんの胸などを複数回、包丁の柄が外れるほど刺しており、強い殺意があったと見られています。

ただ、『施設関係者なら誰でもよかった』という供述の本意は、施設関係者で自分に関わりのある人間を見つけたら無差別にやるのか、施設に侵入して見つけた人は誰であれやるのか、まず最初に刺したのが施設長だったということならば、きっと前者の意味になるのでしょう。

今回の事件は、児童養護施設をめぐる社会問題として、きちんと解明する必要があると思います。

日本の子どもを取り巻く環境として、親が面倒を見てあげられないということがもたらした問題、親の無い子どもは地域の大人が守るしかないです。

そして、いかなる環境でも子どもの一生が台無しにならないように、再発を防止しなければいけません。

 

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