11日、仏(フランス)東部ストラスブールのクリスマスマーケットで男が銃を乱射した事件で、仏内務省は、5人が死亡、11人が負傷したと発表しました。
検察当局はこの事件をテロと断定しました。
また、男は犯行当時、アラビア語で「神は偉大なり」と叫んでいたことが分かっています。
犯人は逃走中、現地メディアによれば、男はストラスブール生まれで当局マークの過激派リストに載っている人物だとしています。
当局が事件の朝、男の自宅を捜索したところ、銃や手りゅう弾などを発見していたことがわかりました。
マクロン大統領は内務省危機管理対策室でフィリップ首相らと協議し、捜査当局は逃げた男の行方を追っています。
最近、欧米では銃乱射が常習化しているように思いますが、予防する有効な手立てはないのでしょうか。
銃乱射、仏のストラスブール、クリスマスマーケットで
フランス東部ストラスブールで、11日午後8時前(日本時間の12日午前4時前)、中心部で開かれていたクリスマスマーケットの近くで男が銃を乱射しました。
ドイツとの国境アルザス地方にあるストラスブールは、「クリスマスの首都」とも呼ばれ、1570年から続くクリスマスマーケットで知られています。
11月下旬から12月末までの開催期間中に、毎年約200万人の観光客訪れ、日本人観光客にも人気がある街です。
出典元:毎日新聞web版 テロ視野に捜査 仏ストラスブール銃乱射
フランスの内務省は、この事件でこれまでに5人が死亡、11人がけがをしたと発表しました。
ストラスブールにある日本総領事館によれば、日本人が巻き込まれた情報は入っていないとのことです。
事件を受けて、カスタネール内相は12日未明に会見し、フランス全土でテロの警戒レベルを3段階のうち最も高いレベルに引き上げました。
また、各地で開かれているクリスマスマーケットなどでの警戒を強めることを明らかにしました。
さらに、マクロン大統領はツイッターで「事件の犠牲者とその家族のために国全体で連帯を」と呼びかけました。
しかし、ヨーロッパは地続きで複数の国が隣り合っていますし、これはフランス一国だけの問題ではないと思います。
ならば、EU全体?いや、やはり世界の問題でしょう。
銃乱射、検察当局ではテロと断定、犯人は逃走中
男は現場から逃走しましたが、防犯カメラの映像などから、仏検察当局が監視対象としていた過激な思想を持つ人物リストに載っている男である疑いが強まり、テロ事件と断定しました。
男は、現場から数キロ離れた場所で警察などと銃撃戦になったあと、さらに逃走を続けているということで、警察などが350人態勢で男の行方を追っています。
事件当時、クリスマスを2週間後に控え、きらびやかなイルミネーションで飾られ、多くの家族連れでにぎわっていましたが、銃声で一転して悪夢に変わりました。
AFP通信によれば、現場に居合わせた男性目撃者は、
「3発ほど銃撃の音が聞こえた。銃声を聞いて現場から逃げた人が通りを走り、閉めろ、閉めろという声が聞こえた。」
と、当時を振り返りました。
別の目撃者の男性は、テレビ局フランス・アンフォに、
「銃声のような音が聞こえたが、最初は花火かと思った。人々が泣きながら走って来るのが見え、事態が深刻だと分かった。」
と緊張した様子で語りました。
クリスマスマーケットを巡っては、2016年12月に、お隣のドイツ、ベルリン中心部のクリスマスマーケットにトラックが突っ込み、12人が死亡するテロ事件が発生しました。
インターネット上に現場とみられる場所で建物上層階から撮影された動画が投稿され、銃声が鳴り響く中、商店街とみられる路上脇で男性があおむけに倒れている映像が記録された事件がありました。
独DPA通信によると、隣接するドイツ西部の州警察はフランスから入国する人たちに対し検問を実施し、一部では道路を閉鎖し入国経路を制限するなどの緊急措置を実施しました。
ドイツはフランスからの入国検問、制限、国際的な問題へと発展している、ということですね。
容疑者は近くに住む29歳の男、どんな人物なのか?
BFMテレビによると、容疑者の男は治安部隊との銃撃戦となった際に負傷したが、そのまま逃走しており、仏内務省は外出を控えるように呼びかけています。
容疑者はストラスブールに住む29歳の男で、過激化した疑いがあるとして情報機関が把握している人物とされています。
男は、イスラム過激派の思想に染まっているとして要注意人物リストに載っていたとみられ、過去にテロ以外の罪をフランスとドイツで犯し、服役した経験があるとされています。
容疑者は事件当日の11日午前に、治安当局が強盗容疑で男の自宅を家宅捜索する際に逃走していました。
自宅からは手投げ弾が発見された模様です。
イスラム過激派と言えば、穏やかではありません。
イスラム過激派とは、
イスラム教徒のうち、宗教・政治・経済的目的を達成するため、テロ、殺人、暴力、誘拐などの犯罪を行う武装グループ。
自ら信じるイスラム理想社会の実現のためには大量殺人などの犯罪も辞さないため、日本をはじめ欧米社会は過激派とみなしている。
アメリカ同時多発テロを引き起こしたとされる「アルカイダ」、アフガニスタンの反政府武装勢力「タリバン」、イラク・シリアを拠点にイスラム法に基づく国家樹立を目ざす「イスラミック・ステート(IS、イスラム国)」、シリアを拠点とするスンニー派組織「ヌスラ戦線」、パレスチナ地区のイスラム政党「ハマス」、レバノンのイスラム主義の政治組織「ヒズボッラー」、ナイジェリアを拠点とする「ボコ・ハラム」などがある。
とされていますが、自爆テロをいとわない殺人組織のイメージが強いですよね。
今回の銃乱射が単発、単独犯による事件で済むのか、あるいは拡大、拡散、組織化などしてテロの脅威が大きくなるのか、不安は尽きません。
余談ですが、海外の事件が起きると、日本人が巻き込まれたかどうか、必ずニュースで報じられます。
それは重要な情報であることに間違いはありませんが、グローバル化が求められる現在、自分の国のことだけを考えてる感が否めません。
外国人材の登用の門戸を広げようとする中、日本は他国での事件を対岸の火事とせず、身近な出来事として捉えるようにしなければ、真の国際化は進まないような気がします。
イスラム過激派は、すでに私たちの近くに潜伏しているかもしれません。
冗談になるかならないか、わからないくらいの確率で。