日本政府は20日、ついに商業捕鯨を再開する方針を固めました。
しかし、日本の主張に対し、海外からは厳しい反応、反発が必至と報道されています。
政府は、クジラの資源管理について話し合う国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、IWCが禁じる商業捕鯨を北西太平洋で約30年ぶりに再開する見通しです。
これまで日本はIWCとの議論において、捕鯨の是非をめぐって膠着状態に陥っていました。
アメリカやオーストラリアなど反捕鯨国の反対が避けられない中、議論に見切りをつける模様です。
商業捕鯨を再開する方針、日本の主張は
政府はIWCから脱退する方針を固めました。
捕鯨をめぐって国際的な対立が続く中、今後、政府は商業捕鯨を再開する方向で調整を進めていきます。
IWCは1982年に商業捕鯨の一時停止を決議しました。
その後、クジラの資源量は回復したとして、日本はIWCに商業捕鯨の再開を提案してきましたが、反捕鯨国との対立により再開は認められていません。
このような現状において、与党内から、IWCに加盟したままでは商業捕鯨を再開する見通しが立たないという声が出ていましたが、政府はこれを踏まえ、IWCから脱退する方針を固めました。
政府は、今後、商業捕鯨を日本近海や日本のEEZ=排他的経済水域で再開する方向で調整を進めていきます。
ただ、反捕鯨国が反発し、国際関係の悪化を招きかねないため、自民党の関係議員らが関係各国を訪れて説明し、理解を求めることにしています。
商業捕鯨を再開する日本、海外の反応は
アメリカの反捕鯨団体「シー・シェパード」オーストラリア支部は20日、日本が商業捕鯨再開に向けて国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する方針を固めたことを受けて、「クジラが無差別に殺された血まみれの過去に戻るようだ」と批判しました。
以前から、多くの自然保護主義者が日本の調査捕鯨を批判してきました。
日本は長年にわたりクジラを捕獲し続けていて、日本政府は「科学調査」のためとしているにもかかわらず、クジラ肉も一部販売されています。
政府は脱退の理由として、一部の鯨種が生息数を回復していることを挙げるとしていますが、捕鯨活動は日本領海に限定する方向で検討しているようです。
日本では海岸地域の住民の多くが捕鯨を数世紀続けており、クジラ肉を食べるのは日本文化の一部だと話す関係者もいます。
しかし、クジラ肉の消費が急増したのは、クジラが食肉の主要供給源となった第2次世界大戦終結後だけで、最近数十年間では消費量が急減しています。
つまり、クジラ肉の消費はむしろ減っているので、積極的に捕鯨を再開する理由とはなっていないかもしれません。
海外の反応は厳しいものばかりではありません。
日本と同じくノルウェー、アイスランドなどの捕鯨国は、捕鯨の慣行は自国文化の一部で、持続可能な方法で続けられるべきだと主張しています。
IWCを脱退、約30年ぶり商業捕鯨を再開
IWCは、クジラの資源を管理しながら持続的に捕鯨を行うことを目的に1948年に設立されました。
そして、日本は1951年に加盟しました。
今年の8月時点で89か国が加盟しています。
IWCが設立された当初、加盟国の多くは捕鯨を推進している国でした。
しかしその後、加盟国が捕鯨をやめたり、捕鯨に反対する国の加盟が増えたりして、対立が激化していきました。
対立が厳しい中で、1982年には商業捕鯨の一時停止が決議され、決議に従うかぎり、商業捕鯨は継続できなくなりました。
日本は当初、「決議は科学的な根拠を欠いている」とし、異議申し立てをして商業捕鯨を継続していました。
が、1988年には決議を受け入れて商業捕鯨を中断しました。
IWCでは、その後も捕鯨を支持する国と反対する国がきっ抗して対立が続きました。
そのためIWCは、重要な決定ができない膠着状態に陥っていました。
そもそも日本は捕鯨を止めていないのでは、と言われますが、その通りで、日本は過去30年間、捕鯨を続けています。
ただし、IWCによる禁止措置の例外として許可された科学研究計画としての活動としてです。
これについては、事実上の商業捕鯨を偽装した慣行だとの批判もあるようです。
いずれにせよ、国際的な機関、組織から脱退することに関して様々な意見があり、実際に脱退するとなると大きな波紋が広がりそうですね。