千葉県野田市で小学4年生の女の子、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、傷害の疑いで父親が逮捕された事件で、4日、母親も逮捕されました。

出典元:NHK NEWS WEB 女児死亡 逮捕の母親「娘が暴行受ければ自分はされずにすむ」

捜査関係者への取材によると、母親は、

「夫に『外に出すな』と言われて娘を1か月ほど外出させていなかった」

と供述していることが分かりました。

この事件では、父親の栗原勇一郎容疑者(41)が傷害容疑で逮捕されましたが、さらに千葉県警は共犯として、母親の栗原なぎさ容疑者(31)を傷害容疑で逮捕し、発表しました。

なぎさ容疑者は、勇一郎容疑者による日常的な虐待、暴行を長時間、黙認した容疑で逮捕されました。

また、なぎさ容疑者が勇一郎容疑者から暴力を受けていたとの情報もあり、県警は当時の状況を慎重に調べています。

事件発覚から数日の間、母親についての報道がされないことに対し、不自然な部分がありました。

今回それが、父親の共犯で母親逮捕というニュースなって明らかになり、大変衝撃を受けています。

 

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小4女児死亡事件、父親に続き母親も逮捕

栗原一家は、以前、沖縄県糸満市に住んでいました。

なぎさ容疑者については、勇一郎容疑者からDV(ドメスティックバイオレンス)を受けていると親族を通じて市に相談が寄せられたことがあったそうです。

捜査関係者によれば、これまでの調べに対しても、なぎさ容疑者は、

「娘を守るべきだったが、娘が夫から暴行を受ければ、自分は暴行されないですむと思った」

などと供述しているとのことです。

警察は、自分がDVを受けるのを免れるため、心愛さんへの暴行を黙認していたとみて調べています。

心愛さんは事件当日の午前10時ごろから夜にかけて、冷水のシャワーをかけられたり首付近をわしづかみにされたりする暴行を受けたと見られています。

当時、自宅には母親のなぎさ容疑者(31)と1歳の妹も一緒にいたということです。

警察は、なぎさ容疑者が心愛さんが暴行を受けているのを知りながら止めなかったなどとして、傷害の疑いで逮捕しました。

関係者の話によると、勇一郎容疑者は約10年前に、沖縄出身のなぎさ容疑者と結婚、心愛さんが生まれた数年後に一度離婚しましたが、その後2017年ごろに再婚したそうです。

その頃から、なぎさ容疑者が勇一郎容疑者からDVを受けているとの情報が、行政に寄せられていたようです。

なぎさ容疑者は、なぜ、再婚したのでしょうか?それとも、再婚しなければ、いけなかったのでしょうか?

 

父親の日常的な虐待を黙秘した容疑で逮捕

父親の勇一郎容疑者は、1月24日午前10時時ごろ〜午後11時20分ごろ、自宅で心愛さんの髪の毛を引っ張り、冷水のシャワーをかけ、首付近を両手でわしづかみにするなどして首付近に擦過傷を負わせたとして、25日に傷害容疑で逮捕されました。

捜査関係者によると、なぎさ容疑者は勇一郎容疑者が心愛さんを暴行するのを近くで見聞きしていたにも関わらず、止めに入ったり警察に通報したりせずに放置した疑いがあるとのことです。

心愛さんの遺体は24日午後11時過ぎ、勇一郎容疑者が、

「娘の意識と呼吸がない」

と110番通報した直後、浴室で救急隊員が見つけました。

当時、なぎさ容疑者と次女(1)も自宅にいたそうです。

心愛さんは普段着姿で水にぬれており、一部死後硬直が始まっていました。

捜査関係者によると、勇一郎容疑者は、

「午前10時ごろから怒ったりたたいたりした。

立たせて、スクワットもさせた。

風呂場に連れて行ったらもみ合いになった。

水をかけたら体調が急変したので、すぐに通報した」

などと説明し、

「しつけで、悪いとは思っていない」

などと供述しているそうです。

県警は心愛さんが暴行を受けた後、しばらくの間、両親から放置されたとみて捜査しています。

娘が意識を失って呼吸が無くなるまで放置、父親はいつものこと、とでも思っていたのでしょうか。

母親は違う?母親も同じ?

母親は父親と違うはずだし、父親と同じわけがない、子どもを守らなければいけない最後の砦であってほしかった、です。

情状酌量の余地など、親子の間だからこそありません。

 

父親と母親の虐待から、誰が子どもの命を守るのか

なぎさ容疑者が勇一郎容疑者からDVを受けているという相談を、親族が沖縄県糸満市に寄せたのは一昨年の夏のことだったそうです。

沖縄県中央児童相談所によれば、糸満市から寄せられたDVに関する情報が確定的ではなかったため、家族への支援態勢を確立するよう市に助言しただけとのこと。

自宅への訪問などは行わなかったということです。

その後、一家は千葉県野田市に引っ越しました。

再び、なぎさ容疑者がDVを受けている可能性が浮かび上がったのは、一昨年の11月。

柏児童相談所が心愛さんを一時保護した時でした。

心愛さんは、当時、小学校で行われたアンケートで担任の聞き取りに対し、

「お母さんはみかたしてくれるが、父は保護者だといって母のいうことをきかない。

おきなわでは、お母さんがやられていた」

と答えていたそうです。

これが市の対応が問題になっている、学校のいじめアンケートです。

児童相談所は、心愛さんを一時保護したあと、家庭環境を調べるため、なぎさ容疑者と面談しDVについて質問しましたが、

「ないわけではないです」

と答えたあとは、何を尋ねても答えようとしなかったため、具体的な事実を確認できなかったとしています。

児童相談所は、

「DVのリスクは把握したが、総合的に判断して両親のもとにかえすという判断をした。

児童相談所はDVの専門機関ではないので、市などの担当部署につなぐなどの対応が不足していたと反省している」

と話しています。

心愛さんは暴力について具体的に話しましたが、勇一郎容疑者はこれを認めず、児童相談所は同12月、勇一郎容疑者と引き離して同市内の父方の親族宅で暮らすことなどを条件に保護を解除しました。

児童相談所によれば、さらに心愛さんを自宅に戻すか判断するため、18年2月26日に職員が親族宅で、心愛さんを同席させずに勇一郎容疑者と面会したとのこと。

勇一郎容疑者は、

「今日にも連れて帰る」

と強い口調で迫り、心愛さんが書いたとする書面を提示しました。

その書面には、

「お父さんにたたかれたというのはうそです」

「児童相談所の人にはもう会いたくないので来ないでください」

「(父、母、妹と)4人で暮らしたいと思っていました」

などと書かれていたそうです。

児相は心愛さんに自分の意思で書いたのか確認しないまま、28日に自宅に戻す決定をし、心愛さんは3月上旬、自宅アパートに戻りました。

ところが同月下旬、児相職員が小学校で心愛さんと面会して確認したところ、

「父親に書かされた」

と打ち明けたそです。

児童相談所は取材に対して、

「最初から書かされた可能性があるとは思っていた」

と釈明したうえで、

「父親が虐待を認めない中、自宅に戻すことはリスクと考えたが、学校内での見守りができており、何かあればすぐに介入できる体制をとっていたことから、総合的にみて自宅に帰した」

としています。

しかし、児童相談所は心愛さんが自宅に戻った後、一度も自宅訪問せず、勇一郎容疑者への面会も行っていません。

学校に約1カ月間姿を見せなくなったことを知った後も訪問せず、心愛さんは1月24日深夜、自宅浴室で死亡しているのが見つかりました。

なんという悲劇でしょうか。

心愛さんを救うチャンスは何度もあったはずです。

一方で、児童相談所の厳しい実態について、「子どもの福祉現場の激務」を伝える報道もあります。

慢性的な人手不足で、1人の児童福祉司(ケースワーカー)が100件ほどの虐待案件を抱えているような劣悪なところもあるそうです。

関係者によれば、虐待を受けている子どもを全員、助けたいのはやまやまなのですが、現実的には1人の児童福祉司が抱えられるのは、子ども数人から数十人が限界、そうなると、緊急度の高い重篤なケースしか対応できず、緊急度が低いと判断されたケースはどうしても後回しになってしまう、といいます。

今回の事件が、緊急度が低いと判断されたのかどうかは定かではありませんが、子どもが一人、死んでしまったことは事実です。

我が事ではないよその家族内で起きた問題を解決する方法を考えなければいけない、誰が?隣人?地域社会?学校?公共機関?

いくつかの方法を考え、それらを有機的に組み合わせて、子どもたちのセーフティネットをつくらなければ、ですね。

強く、胸に突き付けられました。