24日、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う名護市辺野古沖の埋め立てへの賛否を問う県民投票が行われ、『反対』の票が多数となることが確実となりました。
県民投票は、午後8時に締め切られました。
出口調査や取材などから総合的に判断すると、3択のうち『反対』が『賛成』や『どちらでもない』を上回って多数となることが確実となったとのことです。
沖縄県の条例では、『反対』の票が有権者(投票資格者)総数の1/4に達した場合、知事が結果を尊重し、総理大臣とアメリカの大統領に通知することになっていますが、現時点で1/4を超える勢いです。
投票結果に法的拘束力はなく、政府は今後も移設工事を進める方針ですが、玉城知事は反対多数の結果を受けて政府に移設計画の中止や見直しを迫る考えです。
辺野古沖の埋め立て推進派から見れば、沖縄県はなぜ、このような意味のない県民投票など行うのか、と思っているのかもしれませんが、県民の総意、多数意見は賛成か、反対か、どちらなのかを明確に示す上で意味のあるもの、だと言えるでしょう。
普天間基地移設に伴う辺野古沖の埋め立て賛否『反対』多数
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う名護市辺野古沖の埋め立てへの賛否を問う県民投票で、投票を済ませた有権者を対象に行った出口調査などでは『反対』が、『賛成』や『どちらでもない』を大きく上回っていて、今後、順調に票を伸ばすと見込まれることから、『反対』の票が多数となることが確実となりました。
また、『反対』の票は、沖縄県の条例で知事が結果を尊重し、総理大臣とアメリカの大統領に通知することになっている有権者(投票資格者)総数の1/4のおよそ28万8000票に達する勢いとなっています。
『反対』の票が有権者(投票資格者)総数の1/4に達すれば、沖縄県は『反対』の民意が明確に示されたとして、玉城(たまき)デニー知事は、日米両政府に移設計画を断念するよう働きかけを強める見通しです。
しかしながら、県民投票の結果に法的な拘束力はなく、政府は普天間基地の早期返還を実現するために、引き続き移設工事を進める方針で、今後の推移が注目されます。
政府の菅(義偉)官房長官は、
「辺野古移設は県に申請し、許可を得て工事をしている。
丁寧に説明し、地元の理解、協力を得ながら、粘り強く工事を進める考えに変わりはない」
と、よくもまあ平然と沖縄の人の気持ちも考えずに、ひょうひょうとコメントしています。
沖縄県民投票、有権者1/4超の反対票が示す民意とその効力
沖縄で県民投票が実施されるのは、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小の賛否が問われた1996年9月以来、2回目のことです。
条例に基づく都道府県単位での実施例は、他にはありません。
96年の県民投票では、投票率が59.53%で、『賛成』が投票総数の89.09%でした。
辺野古移設に反対する玉城知事を支える県政与党や企業、団体でつくる「オール沖縄」勢力は「圧倒的な民意を示す」として組織的な運動で『反対』の投票を呼び掛けました。
一方、県政野党の自民や、中立会派の公明、維新は自主投票としました。
そして、本日、県民は知事選など県内の主要選挙に加え、移設の賛否だけを直接問う県民投票で辺野古移設に反対する明確な意思を示しました。
有権者(投票資格者)総数の1/4を超える勢いの『反対』票が結果としてそれを示しています。
今回の県民投票は、一橋大大学院生の元山仁士郎氏を代表とする「辺野古」県民投票の会が約9万3千筆の署名を集めて昨年9月、県に県民投票条例の直接請求を行いました。
県議会は昨年10月、条例案を可決しましたが、市議会で県民投票経費の予算案が否決された沖縄市や宜野湾市などの5市長が選択肢への不満を示すなどして予算の原案執行をこれを拒否しました。
その後、全県実施の声に押された県議会が賛否2択から3択に改正した条例案を賛成多数で可決、5市長は実施に転じ、全県で行う運びとなりました。
大学院生、元山氏グループの署名活動に端を発しての県民投票、沖縄愛に基づいたチームワーク、実施に漕ぎ着けたことは素晴らしいと思います。
しかし、この結果を何かカタチにできないものでしょうか。
効力のない県民投票で終わっては、民意を示した甲斐がありません。
日本政府は、沖縄を相手にするつもりがないようですが、アメリカ政府もそうなのでしょうか。
他の都道府県は、対岸の火事、ひとごととせずに、何か関与すべきことはないのでしょうか。
沖縄県を応援したいと考えても、妙案が浮かばないのがもどかしいです。
沖縄だけの問題なのか、政府より日本全体が興味を持つべし
県民投票では昨年の県知事選と同様、『反対』が『賛成』を上回る結果となることが確実です。
しかし、菅官房長官は県民投票の結果がどのようなものであっても辺野古の工事を粛々と進める旨を表明しています。
ところで、辺野古の新基地建設は現在、大きな3つの問題を抱えています。
- 技術的な問題(軟弱地盤で本当に利用に堪えうる滑走路がつくれるのか)
- 政治的な問題(工期変更を玉城知事が認めず、法廷闘争の行方も不透明)
- コストの問題(2.5兆円をかけて使い物になるかわからない基地をつくる)
これらをクリアできる見込みのないまま、大量に土砂と機動隊を投入して建設を進めているのが現政府です。
このまま、いつまで工事を続けることができるのか、非常に不透明な状況なのです。
埋め立て予定区域の北東側の部分は軟弱地盤であり、そのことについては防衛省も認めています。
その上に飛行場を建設しても地盤沈下の恐れがあるため、このまま工事を進めても、いずれ政府は沖縄県に計画変更申請をしなければなりません。
新基地建設に反対している玉城知事は、これを承認しない考えを表明しており、県側が変更を承認しなければ、政府が県を相手取って違法確認訴訟を起こすことが見込まれています。
法廷に持ち込まれれば、さらなる工事の長期化は間違いありません。
さらに、軟弱地盤の改良などを盛り込んだ移設工事費は、沖縄県の試算によれば、防衛省の当初計画の約10倍、2.5兆円にまで膨れ上がることも見込まれています。
すなわち、辺野古の新基地建設問題、そして沖縄の未来は県民投票以降もまったく見通しが立っていないのです。
だとすれば、これはもう沖縄だけで解決することは難しいのではないでしょうか。
私たち本土の人間がこの問題に関心を持たない限り、沖縄の置かれている状況が改善することはないですし、関わる必要があります。
だとすれば、今回の県民投票がニュースになり、多くの人が、日本全体が沖縄の問題に関心を持つきっかけになったことは、大きな意義があったと言えるのかもしれませんね。